
ぼやき・その1
不当に低くないですか神経内科医への診療報酬
開業して1年ちょっと。開業してわかった医療費の矛盾についてぼやきたい。
神経内科に関して言えば、その専門的医療行為は不当に低く評価されています。
たとえば髄膜炎を疑ったときに腰に針を刺して、髄液を取って検査します。この検査に対して支払われる医療費である手技料は、かなり神経を使う時間のかかる特殊な検査であるにも関わらず、実は検査に必要な特殊な針などの材料費よりかなり安いのです。つまり検査すれば赤字になるのです。
まぶたや顔がぴくぴくする顔面ケイレンに対してボツリヌス毒素の注射がありますが、10万円もかかるので、さぞかし病院は儲けているでしょうと患者さんから言われますが、実は眼科用の特殊な針や注射器を何本も使って、10箇所以上の場所に注射するのに、病院としていただける医療費は筋肉注射1回分の手技料180円だけで、準備や後始末、注射にかかる時間や針や注射器数本代を考えると、これも完全に赤字です。
くも膜下出血などで意識不明となり、呼吸や心臓が止まって運ばれると、看護婦さんと三人がかりで気管内挿管や点滴をしたりと、それはそれは大変な医療行為ですが、これだけしても医療費としては実は採血1回分と大して変わりません。
てんかん発作を疑われて脳波持参で紹介される場合、数十ページにも及ぶ脳波を時間をかけて判読するのに支払われる医療費は、脳波判読そのものがとくに専門的な知識を要するものであるにもかかわらず、わずか700円なのです。
今の医療費の形態からすると、たとえば患者さんが受診されたときにいただける外来管理加算というのがありますが、何か検査をすればこの520円がいただけなくなる仕組みになっています。つまり、何も高額な医療機器をおかずに検査もせずに、ただ話だけ聞いて血液検査程度をしているほうが経営的には安定するという仕組みになっているわけです。ですから先ほどの脳波判読700円は実質180円となり、判読にかかる時間を考えれば、とてもやってられない診療報酬です。
そもそも検査をしなかったらもらえる外来管理料って一体何に対する診療報酬なのでしょうか。神経内科でのみ行う特殊な検査として筋電図というのがあります。これも結構時間と手間がかかる検査なのですが、医療費としては悲しいくらい低く設定されており、採血1回分よりかなり安いのです。
リハビリについても、当院へは体の不自由な方たちが一生懸命何とかして通ってきていますが、付き添ってくる家族の負担もかなりなものです。当院のように医療施設で行う本格的なリハビリに関しては、患者さんの送り迎えはできないことになっています。その半面、介護保険で運営するデイケア施設では、バス停まで歩けるような元気な人でも自宅まで送り迎えしてよいのですから、大いに矛盾を感じます。
専門的な医療行為がきちんと評価される世の中に早くなってほしいと願う今日この頃ですが、診療報酬の決められ方から考えると、まあ無理でしょうねえ。
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